jazz & audio
── まさしくジャケ写通りの音が出る ──
タイトル通り、まさしくジャケ写通りの音が出る、トルド・グスタフセン・トリオの「Changing Places」と「Being There」。ここまでイメージピッタリの作品はなかなかお目に掛かれない。部屋の空気さえ浄化されたような静謐な中に、美しいメロディーが絡んでくる。再生するオーディオ機器のグレードが上がるほど、アルバムの良さが際立ってくるような仕様だ。夜にしんみりと聴くにはうってつけで、何を聴こうか迷うと、またこれをチョイスしてしまっている。同トリオの新作など、他のアルバムもいろいろ聴いてみたけど、やはり個人的にはこの2枚がいちばん好き。中にはつまらないものもたくさん存在するECMレーベルの中で、最優良と位置づけてもいい作品だ
── SOULNOTE sc1.0 をC28+hk870に組み込んでみた ──
長年使い続けたMyryad MCD600が電源を入れると異音がするようになり、チェックを頼んだところ、修理不能の状態らしく、泣く泣く放棄することにした。C28とhk870のシステムに組み込む、代わりのCDプレーヤーを物色していたのだが、先日運良く、程度の良さそうなSOULNOTE sc1.0をヤフオクで競り落とすことが出来た。中古オーディオショップで買えば9万ぐらいする代物だが、3万ちょいで落とせたので超ラッキー😚 早速組み込んでみたところ、特に低域が結構低いところまで出ている感じで、全体的な印象としてはリアル・クリア系の音だ。プリとパワーが古き良き時代のものなので、相まってちょうどいいぐらいの案配に感じる。国産だけど、無骨で強度の高そうな外観は悪くない。筐体の奥行がすごく短く、珍しい形状だ。カラーがブラックだったら、プリとパワーとお揃いに出来たんだけど、まあしょうがないか😓 これとていつまで保つか分からんけど、とりあえずはしばらくこれで💿を楽しみたい。サブスクは手軽だし聴きやすいけど、やっぱ音の強さは💿が勝る。💿はまだまだ健在だ
── ヤフオク3度目のトライで「harman/kardon hk870」をゲット ──
リビングのサブスピーカーJBL 4312Mをより良く鳴らすためのパワーとして、harman/kardon hk870をずっと追っていた。ヤフオクで2度トライしたものの、もう一歩の踏ん切りが付かず落札出来なかったのだが、3度目でなんとか落とせた。外観は傷だらけ(年代ものとは言え、動かしたりすることの少ないパワーなのに、こんなにキズが付くのが不思議💧)なのだが、出品者は機器のメンテナンスをやっている工房のようで、整備済み品との触れ込みだったので、そのことを優先した。早速、C28、4312Mと繋ぎ、ちょっとドキドキしながら鳴らしてみたところ、力感はもちろん、艶や余韻もあっていい感じ。まさに良きアナログ時代の音。何より嬉しかったのは、大好きな「The Arrival Of Victor Feldman」 のバイブの音が、ガツンガツンとすぐ目の前で鳴っているようにリアルに感じられたこと。今まで家で聴いた中で一番の鳴りだった。4312M自体がジャンル的に得意・不得意があるので、すべてがいいというわけではないが、ソースがツボにはまったときは〝おれはこれ以上の音は出せないよ〟と訴えているかのごとく、精一杯鳴ってくれる感があって、そこが好き(以前、一時的にKRELL 250Mに繋いだときもそうだった)。繋ぐアンプによっては、抑揚に欠ける、まったくつまらない音しか発しないので、はっきり評価の分かれるスピーカーだけど😅 今度やる気が起きたら、hk870をメインのTD-500に繋いでみたい。どんな音が出るのか、ちょっと楽しみ😊
── PRIMARE I15 PRISMAをもっと良く鳴らしたい💧 ──
北欧デザインのセンスの良さに惚れて購入した「PRIMARE I15 PRISMA」だけど、今のスピーカー(Rega Kyte)ではどうもうまく鳴らせない。特に小音量時のメリハリに欠けるというか、聴いていてハッとするものがない(でもこのアンプのせいではなく、相性も含めたスピーカーのせいだと思いたい😓…)。音量を大きくすれば、それなりの音にはなるが、仕事部屋でのBGMが主体の環境では、いつもそんな大きめの音では鳴らせない。そこで、このアンプに合いそうなスピーカーを模索してみた。第1に合わせてみたいのが「DYNAUDIO Emit M10」(左下)。デンマークのスピーカーなら、同じ北欧だし、これでECMやACT MUSICあたりを中心に聴けば、相性もバッチリな気がする。元々このアンプで、往年のモダン・ジャズを聴くつもりは毛頭ない。候補の第2は、英国の「MONITOR AUDIO Silver RS1」(中央)。レビューを読む限り、透明感のある音が期待出来そう。もうひとつは米国の「JBL L52 Classic」(右下)。いかにもJBLらしいデザインで、作りもしっかりしてそう。小型だけどフロントバスレフなのもグッド。ただ、なるべくなら、アンプがヨーロッパであればスピーカーもヨーロッパで組み合わせたい。先に上げた2機種はすでに販売を終了しているので、程度の良い中古を探すしかないだろうけど、仕事用にグレードアップさせた新型iMacも発注してしまったし、最終的には懐具合との相談になってしまうのだけれど…
12.18追記:運良く「MONITOR AUDIO Silver RS1」の中古美品をゲット! セッティング後の感想はまた後日
── 純粋にジャケ買い ──
amazonでだったかな? だいぶ前にひと目見て、即ジャケ買いするしかないと思ったこの2枚。森川七月の「& Jazz」は2008年、 タイナカサチの「Dear...」は2007年の作品なので、ほぼ同時期のアルバム。両者とも、今は年齢やキャリアを経て、大人のイメージになってしまったけど、この頃のお二人はまさに乙女というにふさわしい。写真の出来自体が良いこともあるだろうけど、手元に飾っておけば、自ずと目の保養になるビューティフルなジャケ写だ👍 アルバムの中身に関して特に期待して買ったわけではなかったので、実を言うと今まで一度も聴いたことがなく、さっき始めて聴いたのだけど、アルバム自体の出来もなかなかでした🙇🏼♂️🙇🏼♂️ 森川七月は、YouTubeにアップされた比較的最近のライブは観ていたけど、この頃とはやっぱりイメージが違っちゃってるかな。方やタイナカサチのほうは、顔の形もほっそりとしちゃって、プレーンなイメージに変わってしまっている(上記のアルバムから10数年経つわけだから当然と言えば当然だけど…)。誰でも年を経て、容貌もまた変わってしまうのは致し方のないことなので、この頃の写真はホント貴重です。ちなみに「& Jazz」のほうは未だにサブスクにはアップされていないのでCDオンリー。「Dear...」のほうはアップされているけど、CDならベリーナイスな写真集付き。
── 密かに見て聴いてほくそ笑む ジャズ・ヴォーカル4選 ──
個人的には、ジャズ・ヴォーカルものはそんなに聴かないたちなんだけど、自分のシステムとのマッチングのいいものに関しては、時々聞いて悦に入ったりしている。音質もgoodなコンテンポラリーものから4枚紹介したい。それぞれ聴いてもらえば良さはすぐ分かるので、余計な解釈は書かないことにするけど、一部例外はあるものの、不思議とジャケットがいいものは中身もいいことが多い。ここで紹介したアルバムの中身はまさにジャケットのイメージそのもの。センスの良さが抜群に感じられる優れものだ。特に左上のCasandra Beckのジャケットのヴィジュアルなどは、俗な日本製のジャケットではまずお目に掛かれない。この4枚すべてに言えることだけど、部屋の照明を落とし、ややボリュームを絞り気味にして聴いてもらえば、部屋の空気が浄化されたようにさえ感じるはず。
── Jeff Rowland SynergyとTHIEL CS2.3 ──
駅前にオフィスを構えていた当時、愛用していたJeff Rowland Synergy(写真上)とTHIEL CS2.3。前者は例えるなら、硬式テニスボールのような独特の弾力感ある音が魅力的で、クレルやレビンソンのパワーと組み合わせ、オフィスを引き上げるまで使い続けた。後者のほうは、のちにワンランク上のCS6にチェンジしてしまったけど、CS6にスケール感では劣るものの、高域の延びとキレ、リアル感はこちらのほうが上だった気もする。コンパクトでデザインもいいし、生活上の設置スペースさえあれば、また手元に置きたいぐらい。これらをシステムに組んでいた頃に、イラストレーターのMさんが、彼女なりの解釈でユニークなオブジェを作ってくれた。CS2.3のフロントに付いている謎の黒い物体は何をイメージしたものなのか、今度会ったときに聞いてみたいと思っている😊
── C28、その音──
単刀直入だけど、やっぱりマッキンC28はいい。NuPrime STA-9との組み合わせでTANNOY TD-500を鳴らしているけど、ヴォーカルの艶、テナーサックスの深い響きなどは(もちろんソースにも寄るが)未だに時折ハッとさせられるほど。かなりの年代物なので、不具合な入出力端子などもあるけど、通常使用に関する部分は問題なく動作している。これをNuPrime DAC-9に切り替えると、リモコンなどの利便性は付加されるが、音質に関してはスピード感は増しても細身でドライな傾向になってしまう。コンテンポラリーもののを聴くときはこれでもいいんだけど、どちらがいいかと言えば、やはり音質重視でC28に軍配が上がる(デザインもgood)。いつ壊れてもおかしくないので、いつまで使い続けられるか分からないけど、もはやずっと手元に置いておきたい必須アイテムになっている。30年ぐらい前に、知人からMC2205とのセットで譲り受けたものなんだけど、当時は低音が重く感じられてあまり馴染めなかったのだが、今思えば、それはC28よりもMC2205+4312XPのほうに要因があったんだと思う。今はパワーが現代もののSTA-9なので、濃いめのプリとあっさり目のパワーがちょうど相まって、いいバランスになっている気がする。組み合わせの妙というやつで、改めてオーディオは深いと思った。だから面白いんだけどね😊
── MOOK「ジャズと喫茶とオーディオ」に思うこと──
2019年の作品なので、少々以前の話になるけど、このMOOKに関して思うところがあるので、改めて書くことにした。田中伊佐資氏の絶妙な取材と平易でユニークな文章、高橋慎一氏をはじめとした素敵な写真、かつ本文用紙にもこだわり、とてもいいMOOKに仕上がって、発売からそう日も経たないうちに完売したのだが、何故か音楽之友社では増刷をしなかったので、今や幻のMOOKと化している😓 特に、下に貼った「JAZZ喫茶 映画館」のメインカットは「ジャズ批評」の編集長だった松坂妃呂子女史の在りし日の姿を留めたものでとても貴重なもの。なんの違和感もなく、ごく自然にお店の中に溶け込んでいる。しばらく見つめていると、音も聴こえてきそうなほどの空気感。他にも一見して行ってみたくなるお店がたくさん紹介されていて、かつそのお店のオーディオがどんなのかをも知ることが出来る。個人的にはぜひ続編も作りたいと思っているんだけど、残念ながら実現は難しそう😭
── 悩んだ末の、PRIMARE I15 PRISMA──
サブシステム用のDACを物色していたのだが、なかなか良いのに巡り会えず、プリメイン一体型なら悩む必要もなくなると考え直し、以前から目を付けていた「PRIMARE I15 PRISMA / BLK」を思い切って入手した💧 北欧(スウェーデン製)らしく品の良い、柔らかな響きの音で、スピーカーをがんばって鳴らそうとしないところがいい。おすまし感はあるけど、単にクールとも言えないし、決してモニター的なとんがった音ではない。あくまでもイメージだけれど、静謐な森と湖が目に浮かぶ北欧サウンドというのが一番的を得ている気がする。コンパクトな筐体、洗練されたデザインは国産とは比べようがない。リモコンの作りにもセンスを感じる。アナログ入力がひとつしかないとか、サンプリング周波数の表示がないとか、AirPlayの際は有線LAN接続が必須とか、いくらか不満はあるものの、この機種が奏でる音は他ではなかなか聴けないと思う。ベルデン8470で「rega Kyte」に繋いでいるが相性も悪くなさそう。仕事をしながら肩肘張らないで聴けるのがいい。「rega」はアナログに「PRIMARE」はデジタルに、それぞれ使い分けようと思う😊
[追記]この写真を見ても分かるように、フロントパネルと本体の間に1cmほどのスリットがある。フロントパネルから中身を手前に引き出したような独特なデザインになっていて、国産なら絶対にあり得ない形状。放っておくとこの隙間にゴミが溜まりそうなんだけど、そんなことより北欧的感性によるデザイン重視の傾向なんだろうね😅
── rega System One 急遽導入──
少し前から、サブシステム用のプリメインとして価格もサイズも手頃な「rega io」をチェックしていたのだが、ある日なんとなくメルカリで検索したら、この「io」を含めた「System One」という3点セットを激安で出品しているのを見つけ、ほぼ衝動的に購入してしまった。出品者が新品購入してまだ日も浅かったようなんだけど、もう出してしまうなんて何かあるのかなと少し疑ってもいたのだけど、届いてすぐチェックしてみたところ特になんの問題もなく、全くの美品だった。製品自体に不満があるとしたら「io」のボリュームノブがちょっと安っぽいのと、回したときの感触も今ひとつ。リモコンでの細かいボリューム調整が出来ない(しにくい)ことかな。プレーヤーはこのセットに付いている「Planar 1 MK2」の前モデルである「Planar 1 」をメインシステム用としてすでに所持していたので特に必要なかったんだけど、サブシステムでもレコードが聴けるようになるのは良いこと。でもそんなことより、あまり日本では馴染みのないregaのスピーカー「Kyte」がどんな音が出すのか興味があった。最初、付属の白いスピーカーケーブルを繋いで聴いていて、暖色系のアナログな音質は良いのだけど、なんか音が膨らみ傾向でもう少し締まりが欲しいなと思えたので、必殺の「WesternElectric単線ビンテージケーブル」に繋ぎ換えたら、予想通りバッチリはまった。芯のある締まった音になり、明瞭度もアップ。これなら充分聴ける。レコード再生は何かと面倒なので、もうだいぶ前から敬遠気味だったんだけど、この「System One」は元々レコード再生をメインにチューニングしたシステムのようだし、時にはレコードを棚から引っ張り出して聴いてみようと思う😊
── ACCD(オーディオチェックCD)Hi-Res version パッケージジャケットデザイン──
月刊stereo5月号の付録だったACCDが、今回もHi-Res version化され、パッケージジャケットおよびレーベルのデザイン依頼を受けた。付録CD用の本誌綴じ込みジャケット表2として作成したイメージを、縦長のパッケージ仕様に作り直して表面にあしらった。服部さんと相川さんの2枚のプレイ写真をレイヤーマスクで合成したんだけど、意外と違和感なく合わせられた感じ。偶然(だと思うが)ライティングとの絡みでゴールドに輝く相川さんの髪と、タンバリンを持ったポーズがキレイ。通常のプロセス4色だが、イミテーションカラーのゴールドとシルバーが、思いのほかそれらしく出てくれて嬉しい😊
── BBSM-15Fへの憧れ。そしてそのあと… ──
もうだいぶ前の話になるけど、吉祥寺の駅近くに「A & F」というジャズ喫茶があった。そう離れていないところには「MEG」があり、この2店は吉祥寺ジャズ喫茶の双璧だった。両店にはよく足を運んだけど、休日ともなれば客も多くてなんかちょっと気が引けるので、なるべく客の少ない平日に行くようにしていた。当時対照的だったのは「A & F」はCDがメインで「MEG」はレコードがメインだったこと。照明や壁、テーブルと椅子などから受けるお店のイメージは、前者はクール、後者はウォームという感じ。どっちも好きだったけど、仕事帰りの遅い時間に「MEG」の奥の長椅子にどっかり座っていると、オリンパスやエレクトロヴォイスがガンガン鳴っていても、いつの間にか寝入ってしまうほど、まさにそこは自分にとっての特等席だった。方や「A & F」の一番の魅力は、なんと言ってもウエストレイクのWウーハー、BBSM-15F(写真上)に尽きる。音の迫力はもちろん、ルックスも最高でマジで欲しいと思った。とは言え、ハンパない価格だし、中古にも出会えそうになかったので、あるとき(確か、ユニオンお茶の水店だったと記憶しているが)タンノイ System 215(写真下)の中古がかなり安く出ていたのに目が留まり、同じWウーハーというところに釣られ、深く考えもせず衝動買いしてしまった。それが超大失敗! オフィスに持ち込んだら、部屋がもの凄く窮屈になってしまい、息苦しいことこの上ない。そして肝心の音がまったくダメ。多少試行錯誤してみたものの、改善の余地は見出せず、速攻で手放した。あのスピーカーをうまく鳴らすには、繋ぐシステムや設置場所はもちろん、かなりの手練れでないと無理なのでは…。本格的にオーディオを始めて以来、あのときほど自分が浅はかだったと思えたことはない。オーディオは甘くないということを、高い授業料払って学習したと言うべきか。
── メイジャー・ホリーは悪魔の囁き? ──
つい最近、YouTubeで初めて聴いたこのアルバム。ビブラフォン奏者ピーター・アップルヤードのリーダー作『BARBADOS HEAT』だが、透明感のあるビブラフォンの響きが美しい。スタンダードナンバーを揃えた選曲も良く、コンコードらしい明るく乾いた気持ちのいい音質で、ずっと聴いていたい…と思っていたら、本アルバムラストの「Sing,Sing,Sing」で一気に興醒めした😓 原因はベースのメイジャー・ホリー。最後まで普通にベースを弾いていればいいものを、得意?のだみ声ハミングを披露しちゃってる💢 ジェリー・ウィギンスのアルバムなどでも突然ハモっちゃったりして、最悪以外の何物でもない。本人名義のアルバムならともかく、サイドメンとして参加している場合、共演者は嫌がらないのだろうか。キース・ジャレットのうなり声も、ずっと昔最初に聴いたときはちょっと違和感あったけど、比較的すぐピアノと一体として聴けるようになったが、メイジャー・ホリーのだみ声ハミングはこれとは全く異質のもの。時々引くアルコも大嫌い。普通にやって欲しいです。
── NUPRIME DAC-9 導入 ──
オーディオはしばらく現状維持だったけど、つい最近、NUPRIMEのDACプリ、 DAC-9を仕入れた。同社のパワーSTA-9を使っているので、未聴でも相性は問題ないと思ったし、色も同色のブラック、リモコンも使えて、とにかくコンパクトなのがいい。早速、前もって仕入れておいたMOGAMI2549のバランスで繋げて試聴したところ、それまでC28で聴いていたときと比べ(当然のことだが)解像感、S/Nが良くなり、一段低い音も感じられるようになった。音の厚み、コクなどはC28に軍配が上がるけど、コンテンポラリーJazzをカチッと聴くときは、こっちのほうがしっくり来そう。逆に往年のJazzやヴォーカルを聴くときはC28の雰囲気も捨てがたく、適宜STA-9のバランス〜アンバランス入力SWを切り替えて使おうと思っている。DACとしての音質は、Cambridge AudioのDacMagic Plusと比べると明らかに違いがある。DacMagic Plusは、音を気持ちよく聴かせるという仕掛けを持っているけど、こちらはそれに比べるとモニターライクというか、あまり味付けのようなものは感じなくて、比較的ソースに忠実な傾向かな…。
── ジャズジャケのお話 ──
せっかくのいいジャケ写でも、トリミング次第で俗物になってしまう典型がこれ。Zootの「If I'm Lucky」は昔から大好きなアルバムだが、左の再発ものは、Zoot自身が大きくなるように安易にトリミングしてしまったために、空間がなくなってしまって窮屈この上ない。タイトルの書体と色も良くない。右はオリジナルのデザイン。ゆったりと空間を取って、まるで悟りの境地にでもいるかのような雰囲気を醸し出している。色がないのもいい。まさに写真が生きるも死ぬもトリミング次第という好例。
次は、ものまねもここまでやると、さすがにやり過ぎと思われる典型。左は2017年のジャズボーカルアルバムのジャケで、右の1957年録音の超名盤のそれをそっくりまねている。何の意味があってそうしたのか、理由がまったく分からない。単にプロデューサーやデザイナーの気まぐれでこうしたのであれば、ジャズファンに叩かれるのは目に見えているので、Paulaが気の毒。昔、右のジャケを初めて見たとき、その右側に写っているのが何なのか分からなかった(当時のジャケ写はかなり暗かったし)。その後、明るめの写真を見て、やっと左手だと分かった。何となくポーズが不自然な気もするんだけど、あえてそういうポーズにして撮ったんだろうか? 内容は超名盤の名に恥じない、分厚い3管サウンドで言うことなしだけど。
最後に、個人的に最高のジャケ2枚。左のジャケは、メインであるはずのShorter自身をギリギリ左に押しやって、草の部分を大きく取ったトリミングが素晴らしすぎる(さすが尊敬するReid Miles。自分のデザインセンスの礎です)。右のジャケは、美しいタイポグラフィーの典型(もちろん足のキレイさも特筆)。ずっと眺めていたいぐらい…。Reid Milesのデザインもヴィジュアルとタイポ一体形が多いけど、そういう締まったデザインが大好きだし、これからも追求していきたい。
── 今更だけど ──
誰もが知るビル・エヴァンスの「Waltz for Debby」。ここで取り上げるのは恥ずかしいほどの超名盤だけど、オーディオ・チェックにも欠かせないソースなので、おそらく再生回数の一番多いアルバムだろうと思う。演奏のクオリティーは元より、ライヴアルバムとしても超一流で、特にヘッドホンやイヤホンで聴くときは、周囲のライブ感に聴き耳を欹ててしまう。のちに、永遠の超名盤となるこのライヴに、リアルタイムで身を置くことの出来た客たちは幸運だと思うんだけど、彼らはちゃんと演奏を聴いているのかも疑わしく、トリオの、静謐で白い炎のような演奏と対比をなしていて、そこがまた凄い。さらにそれを際立たせているのが、客の咳払いや笑い声などが、演奏と自然に融合していて、楽器のひとつにさえ思える点。そして、このとき咳をした客や笑った客、話しをしていた客は、その後どういう人生を歩んだんだろうか。1961年のライブだから、今年で61年経つわけだけど、まだ生きている人もいるんだろうか。思わずそんなことにまで思いを馳せてしまうような、まさに奇跡のアルバムだ。これを聴いて何も感じなかった人は、Jazzを聴くのを止めるべき。
── tangent EXEO AMP導入 ──
仕事場のサブシステムは、Aura(British Stingray)で鳴らしていたのだが、高いところに置いていることもあって、どうしてもリモコン付きのアンプが欲しくなり、時折物色していたところ、運良く、かなり程度の良いタンジェントのEXEO AMPを手に入れることが出来た。見た目の質感や作りは、7万弱のプリメインとは思われない。このあたり、国産とは一線を画す印象がある。音の傾向としては、Auraを幾分タイトにしたような感じで悪くない。細部をじっくり聴き込むという類のものではないが、適度にメリハリもあって、全体にまとまりの良い音で聴きやすく、スピーカー端子がAB2系統あるのもポイント高い。繋いでいるSX-50との相性も悪くなさそう。何気ない機能だけど、共通リモコン仕様で、電源のON/OFFが出来るのもメリット高い。でも、Jazzを聴くなら、やっぱりマッキンとJBLの組合せが鉄板だと改めて思うようになってきた。C28は残したものの、ペアで使っていたMC2205を二束三文で手放してしまったのが、今となっては後悔している・・・
── Framingo ──
スコット・ラファロ参加で有名な「The Arrival of Victor Feldman」。確かこれを30数年前にMEGで聴いたのだが、当時のスピーカーは往年の名器オリンパスS8R。A面4曲目の「Flamingo」の冒頭、ラファロのベースがドドドーンと沈みこむ箇所があるが、まるで岩を砕いたかのようなもの凄い音がした。その後、数カ所で同じ曲を聴いたのだが、あのときの凄みを感じることは出来なかった。アルバム全体を通しても、ジャズとオーディオ双方の満足度が非常に高い作品で、あるとき幸運にもモノラル版(C3549)を手に入れることが出来た(写真はWebで拾ったものだが、これと同じもの)。今のウチのシステムで試した感じでは、モノラルがいいかステレオがいいか微妙なところだけど、いつか往年の機器を揃えてトライしてみたい。
── SX-50とWesternElectric銅単線ビンテージケーブル ──
仕事場のサブシステム用スピーカーとして最近仕入れたCambridge Audio SX-50。DALI SPEKTOR1を手放したこともあり、一度使ってみようと思った。小さいががっしりした作りで、奥行が結構ある。一言で言って、彫りの深い、陰影のある音(イギリスっぽい)。びっくりしたのは、ジャズドラムのシンバルの輝きが、ウチにあるスピーカーの中では一番かも。リアバスだが、この環境だと低音がややボンつくので、付属のスポンジを詰めた。これでちょうどいい感じ。耳に残る低音は不快でしかないので(リビングのTD-500も同様にスポンジを詰めている)。数日前に、WesternElectricの単線ビンテージケーブルに繋げ変えてみたのだが、これまでと同音量で聴いた場合、若干細身にはなるものの、明らかに締まりが良くなり、明瞭度が上がった感じ(追記:しばらく聴いていて低音が不足気味に感じたので、先日、リアバスのスポンジを外してみたら、今度はそのほうが断然良く、今はそうしている)。ちょっとボリュームを上げれば、音がゴツゴツした固まりで出てくるようなイメージ。主に、テレビ(オプティカル)〜DAC〜プリメインと繋いで、YouTube Musicを流しているけど、CDならまた一段と強い音に。プリメイン(Aura British Stingray)もイギリスだし、やっぱり同じ国の製品は相性いいのかも。
── YouTube Premiumで、仮想Live三昧 ──
アップされたコンテンツの音質と動画のクオリティー次第では、YouTube Premiumでの仮想Live鑑賞は結構楽しめる。たまたまいいのに出会うと凄く得した気分になって、ストレス解消にも役立つ感じ。実際のLiveに比べたら、当然音圧は低いけれど、手軽に家のリビングでこうした雰囲気を味わえるだけでも嬉しい。今まで全く知らなかったミュージシャンやヴォーカリストが結構良くて感心したりして、新たな発見もあるし。やっぱ生演奏を聴くことの良さってそういうところにあるよね。ちなみに、YouTubeは好きだけど、ユーチューバーって言葉はなんか響きが軽くてあまり好きじゃない。
── NuPrime STA-9来た ──
C28と組み合わせるパワーを物色していたのだが、ネット上の評価も高く、コスパにも優れたNuPrime STA-9を選択した。コンパクトかつシンプルでスタイリッシュなデザイン。届いてまだ1日しか経っていないし、4K BRAVIA〜DacMagic Plus(このセットにしてから、YouTubeの音が激変し、コンテンツも豊富なので、BGMとしてはそればかり聴いている)からのデジタルソースしか聴いていないので、音の評価は定まっていないが、月並みな言葉で言えば、タイトでクリアーな現代の音っていう感じ。小音量時のメリハリが少し物足りない気もするが、そこからちょっと音量を上げれば、芯のある、自然な響きを伴ったなかなか魅力的な音を出す。一瞬のアタック感とかスピード感があるので、現代のジャズライブなんかとは相性が良さそう。トランペットやアルトサックスの音が少しきつめな感じもするけど、今後のエージングに期待したい。電源ケーブルを付属のものからキャメロットに変えてみたけど、あまり違いは感じられなかった。同機種を使っている人はそれなりにいると思うが、さすがにC28と組み合わせている人はいないかも。C28がうまくコントロールしてくれると良いのだが…
・SONY 4K BRAVIA+Cambridge Audio DacMagic Plus+McIntosh C28+NuPrime STA-9+TANNOY TD-500
── THIEL CS2.3とCS6 ──
以前、ハイエンド的なシステムを組んでいるときに愛用した2つのTHIEL。最初に使ったのが比較的コンパクトなCS2.3で、そのあとがCS6。特にCS6はお店に在庫がなく、空輸してもらったので、納品に日数がかかった。ボディーカラーもこのカタログカットと同色だった。アンプなどは、中古で程度の良いものを取っ替え引っ替えして使っていたが、これらのスピーカーは新品を購入して一から育てたので、自ずと情が入ってしまった。売却の際は、子どもを遠くにやってしまうときのような、ちょっとせつない思いもした。その頃は、アナログを廃し、コンテンポラリー系jazzのCD再生にほぼ特化していたので、ソースとのマッチングも良く、好きなベースの音のリアルさを追求していた。ボンボンではなく、ドッドッといった、締まって耳に残らない低音が好きだったので、その趣向を満たしてくれたと思う(クレルやレビンソンのパワーもその一躍を担ってくれた。クレルは陽性で明るく、聴いていて楽しかったし、レビンソンは陰影があって、地を這うような超低音を感じることが出来た)。低音再生では、当然サイズの大きいCS6のほうが上手だが、突き抜けるような高音はCS2.3のほうに分があり、どちらも甲乙付けがたい。今後、もし一軒家にでも住むことになったら、どちらかを買い戻したいぐらい。ただそうなると、繋ぐ機器もそれなりのものを用意せねばならなくなるわけだけど…。
── McIntosh C28とJBL 4312M ──
これはヤバい…。もしかしたら、当時はC28の本当の力量を感じていなかったのかも知れない。昨年末、30年ぶりぐらいで、棚の上でホコリを被っていたC28を引っ張り出して、今のリビングにあるシステムに繋げてみたんだけど、最初音が出なかった。ずっと放置していたし、やっぱダメかと思って、そのまま2〜3日置き、もう一度だけやってみようと思い立って、あれこれいじっていたら音が出た。テストのつもりで、手元にあった安易なフルオートプレーヤーを繋ぎ、アナログ再生してみたんだけど、そのときは低音のボリュームや音の厚みは感じたものの、こんなふうだったかと言った程度の印象だった(今思えば、テストとは言え、繋いだプレーヤーがクソ過ぎた)。そして今日、仕事の要素待ちの間に、DENONのネットワークオーディオプレーヤーを繋ぎ、iPad Airから、Apple MusicやYouTube Musicをストリーミング再生してみたところ、音の濃さ、音圧、力感に、一瞬圧倒された。常用しているAuraやCambridgeのプリメインを通したシステムと比べ、明らかに音に肉が付いている。まるで上質な脂身が付いた豚ロースステーキのよう。それも、プリこそC28だけど、パワーは代用として急いで作ったプリメイン(オントモキットのLXV-OT7)、スピーカーは小型のJBL4312M。ケーブル類はすべて安物。現代の解像感やスピード感を求めるソースなどは合わないだろうが、今まで鳴り切れていなかった4312Mが、水を得た魚のように躍動し始めた。ただ、C28はフラットだと高音がだいぶ不足するので、TREBLEをかなり上げている。そう言えば、以前ハイエンドを組んでいた時分、一時的にJeff Rowland synergy + Krell 250Mのメインシステムに繋いだときも同じ驚きがあったのを思い出した。このスピーカー、伝統の4312の単なるミニチュア版と思われがちだけど、生かすも殺すもアンプ次第という気がする。C28に繋げるパワー(当時ペアにしていた2205は、システムを新しくした際に売却してしまった)をどうしようかヤフオク等で物色していたのだが、BGM主体だし、別にこれでいいような気がしてきた。この4312M、これまでヴォーカル絡みはあまりピンと来なかったのだが、それも払拭された感じ。こうなるとオーディオは面白い。ただ、やっぱりリモコンは欲しい…
── OCTETで聴いたENSADINADO ──
今年の正月、山形帰省の折、Jazz喫茶OCTETを10数年ぶりに再訪し、このアルバムを初めて聴いた。国内盤LPのようだったが、MPS(原盤SABA?)らしいHi-Fi音で、Fats Sadiのヴァイブがリアルに鳴り響いていた。C29+MC2105+JBL4333アルニコの往年のJazzシステム。その前にかかっていたCDから、このLPに変わった途端、音の太さ、スケール感が数段増した感じ。やはり往年のJazzをレコードで聴くなら、オーディオシステムも同時代のものを合わせるのがセオリーと改めて思った。同様のことを、オリンパスS8R時代のMEG(個人的にはこの頃のMEGが一番好き)でも感じたのを思い出した。昔から好きなZootの「If I'm Lucky」B面をリクエストし、2時間ほど滞在。マスターの相澤氏の本もみやげに買い、雪道の中を駅へ向かった。快晴だったけど、空気が冷たい。でも、身を切るような風はないし、空気は確実にいい。帰省の折にはまた行きたい。